フィギュアカスタムの解説



     

HOTTOYSのブラックウィドウにクールガール用のビザールクイーンを着せたらどうなるか?

ホットトイズのブラックウィドウとビザールクイーン




HOTTOYSのブラックウィドウ2010年8月発売のブラックウィドウ。定価18,900円。2010年8月発売のブラックウィドウ。定価18,900円。
ブラックウィドウの精悍なスタイルブラックウィドウの精悍なスタイルブラックウィドウの精悍なスタイル
ブラックウィドウの超リアルヘッドブラックウィドウの超リアルなヘッド超絶リアルなヘッド

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クールガールとボークス

超絶リアルな完成度のHOTTOYSブラックウィドウ

     こちらは、最近、巷で話題のホットトイズの「ムービー・マスターピース」シリーズ第四弾として、今年の8月にリリースされたばかりのブラック・ウィドー!セクシーな女性として名高い女優スカーレット・ヨハンソンが映画アイアンマン2で演じる謎の美女ブラック・ウィドーをホットトイズが精巧に立体化したフィギュアです。定価が18,900円。2008年12月発売のクールガールのドロンジョが19,740円ですから、いまやリアルフィギュアの世界は2万円前後ですね。

     まずは、体のラインを強調するタイトなダークブルーのレザースーツに身を包んだその姿は、セクシーさ100%。全高約28センチで28箇所以上が可動する新開発されたボディーは、ブラック・ウィドーの持つ美しいプロポーションとしなやかな肢体を再現しており、さまざまなポーズをつけることができます。パッケージから取り出すと、もう完成されすぎていて、何もできませんね。第一印象は、ここまでやるか!う~んと、息を呑むだけでした。

     さて、このモデルでは、付属するパーツはまあ、最近のフィギュアでは、どちらかというと少なめで、スペアの手首のパーツとピストルが2丁だけ、あとはスタンドです。いいかえると、大半がヘッドとボディに注力されたような感じがします。衣装はクールガールシリーズと比べると、縫製レベルは雲泥の差。量産品で、ここまで超リアルな造型が可能になったわけですごいなあと思います。

やっぱり、何といってもこのヘッドでしょ!

     さて、このブラックウィドウが話題になる、もう一つの理由が主役のスカーレット・ヨハンソンのヘッドでしょう。艶やかな表情やメイクを細部まで表現するために一つひとつがハンドペイントで塗装されているとのこと。さらに特徴的な赤茶色のカーリーヘアは植毛で再現されています。今回の撮影では、箱から取り出したままの商品の生の姿をお届けするために、特にカスタマイズしていません。だから、ホットトイズの商品ページでのメーカーサンプル写真とは、かなりリアル度は落ちるのがわかるでしょう。

     まあ、メーカーサンプル写真では、肌のペイントなどプロの渾身の作品を使っているので、あれだけの実写と見まごうほどの迫力のヘッドになるわけで、こちらの量産品では、そのあたりは省略されています。ただ、それでもこれだけのペイントになるわけで、素晴らしい出来栄えです。肌のキメまで造型するわけですから、原型師とそれを再現した金型の精度には驚嘆しますねえ…。

     ただ、ヘアについてはパーマをかなりハードに固めてしまっているため、アレンジが困難です。今回の撮影では、あえて何もせず、そのまま撮影していますから、乱れているのがよくわかるでしょう。ヘアセットの方法について、整髪料を使うように説明書まで添付されていましたから、水などで手軽にセットできません。ちょっと、困ったことではあります。

HOTTOYSのブラックウィドウとミニスカートのスーツの組合せブラックウィドウとミニスカートのスーツの組合せ。インナーはブラとTバックだけ。
ブラックウィドウの精悍なスタイルぴったりの美ジャケットがハードボイルドにキマル!ぴったりの美ジャケットがハードボイルドにキマル!全身のショットを撮りたいのですが…
ブラックウィドウの超リアルヘッドこちらは、着替え中のブラックウィドウ!こちらは、着替え中のブラックウィドウ!

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クールガールとボークス

ブラックウィドウにビザールクイーンを着せたらどうよ?

     さて、息を呑んでばかりもいられないので、さっそく作業にとりかかりましょう。今回、ブラックウィドウを購入したのは、ぜひともビザールクイーンのカスタムレザーウェアを着せたかったからです。そこで、ダークブルーのボディスーツを脱がし始めたのですが…。

     ベルトを外そうとしたのですが、どこにもバックルがありません。完全に接着されています。その瞬間、全てを理解しました。HOTTOYSのブラックウィドウは着せ替えを想定していないのです。つまり、このままで完成品であることを意味します。だから、着せ替え作業は破壊を意味します!ガ~ン…。またしても息を呑むしかありませんでした。

     覚悟をきめまして、いくらなんでもベルトをカッターで切るのは憚られるので、接着部分を丁寧に剥がします。ガンホルダーベルトも、苦労してヒップから足元へとスライドさせて外します。これも、バックルは一切無いので、切るか、ずらして外すかのどちらかしかありません。やれやれ、これで服を脱がしにかかると、これがまた、キチキチなのと、ボディの素材がニュージェネのあのプニュプニュの人肌リアルの素材をさらに10倍くらいリアルにしたようなラバー素材なので、摩擦抵抗がすごく、全然すべりません。 一苦労して、ボディスーツを脱がしましたがヒップの部分が少し破損してしまい縫い目が切れました。う~ん、これを、着せたとき、大変だったろうなあと思いましたねえ。さて、最後に、ブーツを脱がそうとしたら、絶望の奈落に落ちましたです、ハイ。ここでもまた、息を呑むしかない…。

     うん?脱げない…。その刹那、すべてを理解しました。クールガールと同じ方式!足と靴底一体成型のタイプか…。私は、てっきりニュージェネと同じと思っていたもので、これにはショックでした。おまけに、足首の形状が、次項でごらんいただけるように、特殊なタイプ。現時点では、一切の互換性がありません。この点でも、ブラックウィドウは、完成品であることを痛感しました。靴を履き替えることができない…。つまり、ハイヒールを履かせることができない!

    そんなわけで、今回の写真撮影は、すべて上半身だけにトリミング。だって、下半身はブーツですから…。全身ショットのカッコよいポーズを決めて撮りたいのですが、いまのところ不可能です。まあ、そんなこんなで、苦労しましたがとりあえず、ビザールクイーンのインナーやアウターは問題なく着せることができました。ヘッドがこれだけのリアルさがあるので、リアルレザーを着せると、どうよ?とばかりにポーズをとれば、ああなんと素晴らしいことでしょう!これで、足首のパーツがどうにかなれば、リアルな6インチハイヒールで、カスタムウェアを着せられるのになあ、、、実に残念です。

ブラックウィドウの足元実は、トホホの下半身の姿なり~。100%ゴムだけで一体成型!なので長靴と同じ着脱方式。
ブラックウィドウボディとニュージェネ素体の比較ブラックウィドウボディとニュージェネ素体の比較
ブラックウィドウの超リアブラックウィドウの致命的な足の形状致命的な足首の形状。現時点で互換性全く無し!

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クールガールとボークス

結論は、実に残念な自己完結型のブラックウィドウ。

     以上で、ホットトイズの話題作ブラックウィドウにビザールクイーンのカスタムウェアを着せる検証が終わりました。しかし、その過程でわかったことは、このブラックウィドウは、超絶リアルの完成度があり、逆にあまりに完成されすぎているために、遊べないという残念なフィギュアであるということでした。結論として、このブラックウィドウは、出荷時点で完成品であるから、買ってきたそのままの衣装で、いろいろなポージングを楽しむという自己完結型のフィギュアであるということです。つまり、HOTTOYSは、オリジナルのブラックウィドウのイメージに極限まで絞込み、ハイチューンすることで、超リアルなフィギュアを究極のレベルにまで完成させているわけです。したがって、クールガールのように、着せ替えを前提に汎用設計されているのではないということです。

     以上の基本設計である以上、ユーザーがこの素晴らしいヘッドとボディを使って、お気に入りのビザールクイーンのカスタムウェアやハイヒール、ブーツなどを楽しむことは、現時点ではできないということです。将来、この特殊な足首形状に合わせた足パーツが販売されれば、オリジナルのウェアを破壊?して、素体にしてからカスタムウェアを着せることはできると思います。ただ、前述のように特殊なラバー素材なので、非常に滑りが悪いのと、色移りが非常に激しいことが難点です。色移りしたら、すぐ中性洗剤で洗えば、取れますが長期間放置すると、ラバーとの化学変化でおそらく、素材が何であれ、衣服の染料の色移りが避けられないのではないかと思います。28箇所可動の素晴らしいフィギュアなのですが、自己完結であり、ブラックウィドウのオリジナルで楽しみたいという人しか、今のところ買う意味が無いようです。カスタマイズ嗜好のユーザーにとって実に、惜しいモデルだと思います。

     最後に、おなじホットトイズのニュージェネとの比較をしますと、ボディ形状はご覧のようにブラックウィドウのほうが、細いウエストでセクシーグラマーなボディです。ただ、オリジナルの映画のスーツのイメージにあわすために乳首が突出しないよう配慮されたようで、ボディのバスト形状には乳首がありません。つまり、クールガールと同じです。これに対して、ニュージェネはしっかり乳首が表現されています。

     膝関節も、ニュージェネのように逆バンクに折れたりせず、自然な角度で止まります。ただ、個体差なのか、足首がゆるく、立たせるのが困難でした。しかたないので、定番の瞬接で動きを渋く調整しました。とにかく、足首の形状が特殊なので、今のところ汎用性がまったくありません。なぜ、ニュージェネと同じ形状にしなかったのか不思議です。足首で取替えできれば、靴底一体方式の足と、ニュージェネの足とユーザーは自由に選択でき、応用が広がったのですけども。初めから、靴を脱がすこと自体想定外だったのでしょう。ヒップ周りはニュージェネが樹脂素材を使っているので、滑りがよく衣装は着せやすいです。一方、ブラックウィドウはボディがすべて特殊ラバー素材なので、滑りが悪く着せつけは大変です。

     いずれにせよ、我々の足首パーツをなんとか加工改造すれば、モデルに使えそうなので何とかこの素晴らしいフィギュアを活用したいと思います。とりあえずは、超絶リアルなヘッドをモデルさんとして、クールガールのボディにのせて使うことにしましょう!